グリップ・ストラップ・ホルダーまで❕
~白杖の工夫紹介👩🦯 ~
つい先日、買って間もない白杖を折られてしまったLUCA。買い換える際に参考にしようと以前に執筆した「白杖の工夫紹介」の記事を見てみたところ、情報が古すぎて白杖本体のリンクなども現在利用しているものとは異なってしまっていました💦
そこで今回、視覚障害者にとっては体の一部といっても過言ではない、白杖の工夫・カスタマイズ方法などについて、アップデートした情報をお伝えしていきたいと思います。
過去にアップしたページと一部重複する内容もあるかとは思いますが、良ければご参考にしていただければと思います。
👨🦯 本記事でご紹介している工夫・カスタマイズ方法などはLUCA自身が実践していて、便利だと感じているものに限ります。視力の状況・白杖の種類などによっては実施できないもの・使いづらいものもあるかと思いますが、ご了承ください。
利用している白杖本体の情報
詳しい工夫・カスタマイズの内容をご紹介する前に、まずはLUCAが現在利用している白杖本体の基本情報を公開したいと思います。なお、以前の記事を掲載していたころにはアドバンテージ製のものを利用していましたが、現在はより軽く丈夫なセガワケーンを普段使いしています。
- 商品名・リンク
- セガワケーン(折りたたみ)パームチップ式 【日本点字図書館 わくわく用具ショップより】
- メーカー
- 有限会社瀬川商店
- 計上
- 折りたたみ式(5段折り)
- 寸法・重量
- 展開時の長さ: 90~140cm
- 折りたたみ時の長さ: 27.5~32.3cm
- 重量: 144~181g
- 石突の形状
- パームチップ
- 販売価格(記事執筆時)
- ¥10,900
- 選んだポイント
- ・100%カーボンのため、軽く持ち歩きやすい。
- ・LUCAの経験上、グラスファイバーが使われているアドバンテージ製の杖よりも丈夫であるため。
※統計学的な根拠はありません。) - ・グリップがアドバンテージ製のものと比べて細く滑り止め用の模様が彫られていて握りやすいため。
- ※チップについて: スタンダードチップと比べて路面の凹凸などに引っ掛かりにくく、またローラーチップなどと比べて軽く扱いやすいため。
白杖本体の基本情報については以上です。なお、LUCAは軽さや滑らせやすさを重視しているためセガワケーン・パームチップの組み合わせを選びましたが、どの重さ・形状が扱いやすいかについては個人差があります。
グリップ・ストラップのカスタマイズ
それでは本題、白杖の工夫・カスタマイズ方法についてご紹介していきたいと思います。最初は白杖ユーザの多くが気にしている、グリップとストラップのカスタマイズんついてです。
グリップ
白杖のグリップ部分というのは握りやすいよう設計されているものなので、白杖ユーザの中には「何かで覆ってしまいたくない」という方も多いようです。ただ、LUCA自身はグリップのゴムが洋服などに擦れた際に落ちづらい汚れがついてしまったり、夏季に湿気や熱でグリップのゴムがべたついてしまったりするのが耐えられず、以前から「全体を覆ってしまいたい」と考えていました。
以前はビニール製のテープをグリップ全体に巻き付けるという方法を取っていたのですが、残念ながら手から滑り落ちてしまうことが多くなる・徐々に範囲がずれていってしまう・結局熱に弱いといった欠点が多く、またグリップそのものがひどく汚れてしまうためすぐに没となりました。
その後考えたのが、グリップにカバーをかけること...とはいえ自ら縫って作ったカバーは弱すぎ、また松葉づえやゴルフクラブのグリップカバーはサイズが合わず使えないという状況でした。ただそんな中、ハンドメイドマーケットを利用していた家族が教えてくれたのが、「受注生産可」との記載がある、傘の持ちてカバー等ハンドメイド商品の存在でした。
minne(ミンネ)を探し回ったところ、無事受注生産を受け付けている、ニットの「傘の持ちてカバー」を販売しているクリエイターさんを発見することができました。希望のさいず(太さ7.5cm×長さ26cm)と計上(先端にゴムのストラップを通すための穴を空けたい)を白杖本体の写真と共に送信したところ、丁寧に対応していただき、無事ぴったりサイズのカバーを作成していただくことができました。
なお最初に購入したのはもう3年近く前のことですが、それ以来雨色・虹色・青りんご色・トリコロール等様々な柄・配色でリピートしてその日の気分によって使い分けています。
※対象の商品が白杖専用のものではないため、また本来とは異なる注文が一斉に送られてしまうことを防ぐため、恐れ入りますが、クリエイターページへのリンクは避けさせていただきます。同様の商品をお探しの場合、ぜひ同じようにミンネなどのハンドメイドマーケットで受注生産を受け付けているクリエイターさんを探してみてください。
ストラップ
白杖のカスタマイズの中で、最も容易且つ評言の幅が広いのが、ストラップ部分の装飾でしょう。キーチェーンやストラップなどを付けて目印にしている方も多いのではないでしょうか。
LUCAの場合は、気に入っているマスコットなどと一緒に、必ず鈴のストラップを付けるようにしています。というのも、日々通勤で東京の巨大駅構内を歩いていると歩きスマホをしている人など、周りに意識を向けていない人が多く、できる限り自分の存在に気づいてもらえるようにする上で、鈴の音がとても役立ってくれるからなんです。
なお、鈴は劣化したり、人との衝突などにより歪むたびに取り換えており、現在はスヌーピータウンで発見した、犬小屋の上で寝転んでいるスヌーピーをかたどった鈴のストラップを使用しています。
また目印として一緒に付けているキーチェーンは以前まで盲導犬サポートSHOPで売っていた「ラブネスちゃん」のぬいぐるみキーチェーンです。鈴とは違い実用性はありませんが、視覚障害者が多く集まるところなどでも自分の白杖が探しやすくなるので重宝しています。
ホルダー・ポーチの工夫
続いては一部以前に執筆・公開した記事と重複した内容にはなってしまいますが、白杖ポーチ・ホルダーの工夫についてご紹介します。
白杖ポーチ
実のところ他に使っている方をあまり見かけたことがないのですが、LUCAは杖を折りたたんで近くにおいておく必要がある場合には、白杖用のポーチを利用しています。
少し気にしすぎかもしれませんが、地面に沿わせて使うようなものを、膝の上やファミレスなどの席にむき出しで置いておくことに抵抗感を感じており、以前から丁度良いサイズの入れ物を探していたんです。そんな中、X(旧Twitter)で見かけたのが、オーダーメイドで白杖専用ポーチを作ってくれるという、「白杖ポーチ『はいから』@A T工房」さんでした。
気になってDMを送ってみたところ、依頼の流れなどを教えていただくことができ、布(デザイン)の選択、サイズ合わせ、注文まで円滑に進めることができました。製作期間はやや長めでしたが、白杖の大きさにぴったり合った、非常に使いやすい形状のポーチを作っていただき、今でも毎日便利に使わせてもらっています。
※下記、製作していただいたポーチが届いた日のポスト(ツイート)です:
AT工房さん(@ATkoubou)に作っていただいた白杖ポーチが到着❣️
— 🐾ᒪᑌᑕᗩ ルーカ🧸 (@naokiluca) March 8, 2023
【宇宙(そら)に瞬く星たち】という綺麗な生地で、白杖の長さと幅に合わせて縫製してもらったのでサイズもピッタリ。
早速明日から使わせていただきます。ありがとうございました♪ pic.twitter.com/6B4waYW1ME
白杖ホルダー
実は以前にも他の記事でご紹介していたのですが、白杖を一時的に立てかけておくためのホルダーについても、少し工夫しています。
まずは完成品から:
このように、家や電車・バスの中、職場などで白杖を伸ばしたまま保管しておけるよう、磁石や吸盤を取り付けたホルダーを利用しています。特に電車・バス内などでは一時的に白杖から手を放しておきたい時が多いので、壁際に立っている時や優先席の端に座れている時などには磁石式のものをよく使っているんです。
材料はダイソーで売っている「ワンキャッチ」とネオジム磁石/吸盤・外壁用等の協力両面テープのみです。
ワンキャッチは本来掃除用具を壁に取り付けるためのもので初めから粘着テープが貼られているので、自宅以外の場所で持ち歩いて使いたい場合にはそちらを一度剥がします。その後、程よい大きさにカットした強力両面テープを貼り、用途に応じてネオジム磁石または吸盤を取り付けます。
念のため磁石・吸盤が定着するのを待ち、任意の場所に張り付けられれば完成です。
※なお、ワンキャッチはセガワケーン・アドバンテージの折りたたみ式白杖にぴったりのサイズなので、シンボルケーンなど一部の白杖には使えない可能性があります。その場合は傘用のものなどを代用しましょう。
2024/6/28追記:
便利グッズ「ころばぬ杖 エクセレント」
先ほどは手作りのホルダーをご紹介しましたが、白杖を保持してくれるホルダーには白杖専用として販売されているものもあります。LUCA自身、つい先日購入したばかりの「ころばぬ杖 エクセレント」という商品です。
商品リンク: 日本点字図書館 わくわく用具ショップで購入
形としては杖本体を挟み込むクリップ状の部分と、そこから延びるテーブル・棚などに引っ掛けておくためのフック部分とに分かれています。
クリップ部分はアドバンテージ・セガワケーンにピッタリフィットするサイズであり、また内側から杖を支えるためのシリコンパーツが取り付けられているため、滑り落ちてしまうことはありません。
フック部分はスプリングの力で白杖を支えられるようになっている他、棚などの面に接する部分は滑り止めになっていて容易には外れないようになっています。またクリップが折りたたまれているときに外側を向く位置には磁石が搭載されているため、簡単にロッカーや鉄製の壁・扉に貼り付けられるようになっています。
実際に使ってみたところ、フック部分は「一時的に立てかけておく上では有用」、磁石は「多少の揺れ・衝撃には負けないほどの強度がある」という印象でした。また、普段折りたたまれているころばぬ杖は殆ど邪魔にならず、先ほどご紹介した手作りホルダーと違い常に白杖に装着していられるところが便利です。
日常的にバスや電車を利用されている方、一時的に白杖を近くのテーブル等に立てかけておきたいことが多い方などは、っぜひお試しください。
おまけ: 白杖歩行の工夫
ここまで白杖の工夫・カスタマイズ方法などについてご紹介してきましたが、最後におまけとして「歩行時の工夫」についても少しだけ触れたいと思います。半年に1度ペースで白杖を折られてしまっているLUCA自身人に教えられるレベルでは全くありませんが、とりあえず日々歩きながら注意していることなどについてご説明できればと思います。
- 1. 白杖の突き方・振り方
- 白杖の突き方には石突を地面に付けたまま左右に滑らせるように振る「スライドテクニック」、石突を地面から離して左右を突きながら歩く「タッチテクニック」、そして石突で地面を突いてから滑らせる「タッチアンドスライドテクニック」の3種類があります。白杖ユーザの方であれば実感できるかと思いますが、本来視覚障碍当事者にとって最も安全で歩きやすいのは、点字ブロックなどに白杖を沿わせながら歩くことができる「スライドテクニック」です。
- ただ先ほどもご説明した通り、歩きスマホをしている人が多い街中や駅構内、手元・足元を見渡すことが難しい混雑時などには白杖を突いていることに気づいてもらいづらいため、タッチテクニックをしっかりと使い分ける必要があります。
- また、音を立てて杖を突いていても尚気づいてもらえない状況は少なくありませんので、前項でご紹介したように、鈴のストラップなどを付けることでより安全に歩くことができるかと思います。
- 2. 白杖の角度
- 本来、白杖はグリップの中央より少し上を持ち、臍部のたかさで支持するのが正しい持ち方とされていますが、この方法では白杖に角度がつき過ぎて、人にけられたり、踏まれたりしてしまう危険性が高まってしまいます。特に慎重が高い方であれば、白杖を短めに持つ・より高い位置で白杖を支えるなど、角度を意識して歩くのが良いでしょう。
- 3. 正しい長さ
- 「歩行中」の工夫ではありませんが、円滑に白杖を突いて歩行するためには適切な長さの杖を選ぶことが重要です。
- 目印のために持つシンボルケーンは例外ですが、一般的に白杖の長さは直立した時、床から脇の高さまでのものが最も適していると言われています。セガワケーンなどは5cm刻みでの販売となっているため、ぴったりの長さがなければ安全のためにやや短めのものにするか、少し先まで探れるようやや長めのものにするかを選ぶことになるかと思います。
- このように、購入時に正しい長さの白杖を選んでおくことも、安全に歩くための工夫と言えるのではないでしょうか。
まとめ
さて、今回の記事ではLUCAが実践している白杖の工夫・カスタマイズ方法について、「グリップ」・「ストラップ」・「ポーチ」・「ホルダー」の4つに分けてご紹介しました。また、おまけとして「白杖歩行の工夫」についても少し触れてみましたが、如何だったでしょうか。
日ごろから白杖歩行をされている方にとっては目新しさのない情報ばかりだったかもしれませんが、より白杖を使いやすくするため、ご参考にしていただければ幸いです。