ありとあらゆる書類の変換・作成に対応❕
~Pandocのご紹介~
マークダウン、HTML、LaTex、PDFにOffice系書類...同じOSでも、多彩なフォーマットの書類がありますよね。そして複数のフォーマットで書類を作成・提出する必要がある場合、拡張子によっては変換が難しいこともあります。
そこで、今回の記事では幅広いファイルフォーマットと、Windows・Mac・Linuxなど複数のOSに対応した便利な書類変換アプリ、「Pandoc」についてご紹介したいと思います。
複数のフォーマットでレポートを提出したい、Wordやマークダウンファイルでホームページを作りたい、テキストベースでプレゼンテーションを作りたいなど様々なニーズに答えられる便利なアプリなので、ぜひ使い方などを覚えて行ってください!
⚙ 本記事でご紹介している「Pandoc」は基本的にターミナルアプリから使うものなので、ご利用のパソコンでスクリーンリーダーなどの設定がお済みであれば、アクセシビリティを気にすることなく利用することができます。
書類変換アプリ「Pandoc」の基本情報
それでは早速、「Pandoc」の基本情報についてご紹介していきたいと思います。
- アプリ名
- Pandoc
- 初期開発者
- John MacFarlane氏(Wikipedia参照)
- 初リリース時期
- 2006年8月(Wikipedia参照)
- 最新バージョン
- 3.1.12.1(記事執筆時)
- 対応OS
- Windows・Mac・各種Linux
- 主な機能
- Haskellによる書類のフォーマット変換
- 対応フォーマット
- 入力: テキスト系フォーマット・MD(マークダウン)・HTML等
- 出力: マークアップ系フォーマット・テキスト系フォーマット・プレゼンテーション・PDF・LaTeXなど多数
- ※詳しくは日本語版公式ユーザーズガイドをご参照ください。
Pandocの基本情報については以上です。上記の通り、Pandocの初リリース時期は18年も前で、それ以来長年にわたり開発・機能改善が続けられてきているアプリです。
対応環境・フォーマットの豊富さや安全性についても非常に高いので、普段からそれほど書類の変換ソフトを必要とされていない方でも、ダウンロード・設定しておくと便利かと思います。
次項からは、Pandocのダウンロード・インストール方法や使い方についてご説明したいと思います。
Pandocのダウンロード・インストール方法
Pandocをダウンロード・インストールする方法についてはOS別に色々用意されているのですが、本記事ではOSによる違いがなく、最も簡単な「インストーラを使ったインストール」についてご説明します。
- 1. インストーラのダウンロード
- (1) まずはPandocのダウンロードページにアクセスしててください。なお、より新しいバージョンがリリースされている場合には見出し直下の「Latest」というリンクから遷移することができます。
- (2) 続いてダウンロードリンク一覧の中から、ご利用中のOSに合ったインストーラを選択しましょう。
- ※Windowsであれば「pandoc-○.○○.○○.○○-windows-x86_64.msi」、Macであれば「pandoc-○.○○.○○.○○-arm64-macOS.pkg」、Linuxであれば環境によってdebファイルや.tar.gzファイルなどを選択します。
- (3) 通常はリンクを選択すると同時にインストーラのダウンロードが開始されます。正しくダウンロードされない場合にはブラウザの再起動・セキュリティ設定の見直しなどをしましょう。
- 2. インストーラの起動・Pandocのインストール
- (1) ダウンロードが完了したら、ファイルエクスプローラ・Finderなどからインストーラを選択して起動しましょう。
- (2) 後の手順はインストーラの指示に従って操作すれば簡単に進められるかと思います。利用規約への同意・インストール先やインストールタイプの設定を行い、「インストール」ボタンからPandocのインストールを実行してください。
- 3. 正しくインストール・設定されているかの確認
- (1) 一通りインストール作業が終わったら、念のために正しくPandocがインストール・設定されているか確かめてみましょう。
- (2) Terminal・コマンドプロンプトなどを起動し、「python --v」や「python --version」と入力しEnterで送信すると、インストール・設定が問題なく済んでいればインストールされているPandocのバージョンが表示されるはずです。
- (3) ここでエラーが起きてしまう場合にはインストール、もしくはパスの設定に何らかの問題が発生しているということになりますので、一度Pandocをアンインストールして再度インストーラからインストール作業を実行してください。
これでPandocのダウンロード・インストールは以上です。OSによってはより簡単なインストール方法などもありますので、ご利用の環境に合わせてユーザーズガイドなどを検索してみてください。
Pandocの基本的な使い方
それではここからが本番、Pandocの使い方についてご紹介していきます。
Pandocの最も基本的な使い方
まずはターミナル経由でPandocを使う場合の、最も基本的な方法についてです。
- 1. ターミナルアプリを開き、変換したいファイルの保存されているディレクトリに移動する
- まずはTerminal、コマンドプロンプトなどのターミナルアプリを開き、変換したいファイルが格納されているディレクトリまで移動しましょう。
- ※Windowsでデスクトップに保存している場合の記述例: 「cd /Users/ユーザ名/Desktop/」
- ターミナルを使い慣れていない場合には、まずファイルエクスプローラやFinderで目的のフォルダを開き、メニュー・コンテキストメニューから「ターミナルを開く」を選択する方法が便利かと思います。
- 2. Pandocのコマンドを入力する
- 続いては目的のファイルがどれで、何に変換したいかをコマンドで指示する必要があります。
- Pandocの基本コマンドは下記の通りなので、ファイル名などを編集してお使いください。
pandoc -s(HTML・MDファイルなどへ変換する場合) sample.md(変換したいファイル名) -o output.html(返還後のファイル名・フォーマット)
- 変換前のファイルに問題がなく、変換に必要な各種情報が含まれている場合にはすぐに変換が開始され、同ディレクトリに返還後のファイルが出力されます。上記の例では、「output.html」というHTMLファイルが新たに保存されているはずです。
テンプレートの使い方
単純に書類お変換するだけであれば上記のコマンドで事足りるのですが、基本的にPandocの変換で引き継がれるのは書類の内容だけで、デザイン・レイアウトなどは特別指定指示されていない限り一から作り直す必要があります。
だからといって、いくつも同じデザインを使いまわすのに毎回設定をし直していては非常に手間がかかってしまいますよね。そんなときのために、Pandocでは変換時にデザインなどを繰り返し引き継げるよう、テンプレートファイルを設定できるようになっているんです。
テンプレートファイルの指定方法
Pandocで書類を変換する際、下記の記述を加えることでテンプレートを適用することができます。
--template=template.html(テンプレートファイルのパス、拡張子は任意)
なお、テンプレートファイルのフォーマットは基本的には出力ファイルと同じものを用意する必要があり、また扱うフォーマットによって含めなければならない情報が決められています。
例えばHTMLのテンプレートであれば一般的なメタタグやCSSによるデザインの指定、Powerpointプレゼンテーションであれば基本となるスライドの形数種類(見出し・タイトルの種類や本文の数により3~4枚ほど)が正しく記述されていればテンプレートとして使用できるようになっています。
このように用途に応じて数種類のテンプレートを用意しておくと、デザインを適用しつつ簡単に書類を変換することができるようになります。
ターミナルを使い慣れていない方向け! 実行ファイルの作り方
ここまでの内容でご紹介してきた通り、CUIアプリであるPandocを上手く使いこなすにはターミナルアプリを活用する必要があります。ただ、ターミナルにあまり慣れていないという方も多いかと思うので、今回は簡単にワンクリックで変換が行える、batファイル(Windows用)の作り方についてもご説明します。
- 1. メモ帳でbatファイルの中身を作成する
- お使いのテキストエディタ(メモ帳など)を開き、下記のコードをそのままコピー・ペーストしてください。
set /p filename="変換したいファイルの名前(拡張子込み)を入力 >>" set /p format="変換先の拡張子(html、pptxなど)を入力 >>" pandoc -s %filename% -o %filename%.%format%
- 2. batファイルの保存
- 「名前を付けて保存」などからbatファイルを保存していきます。下記の通りに設定を変更して、任意の場所に保存しましょう。
- ファイルの種類: 「すべてのファイル(*.*)」
- ファイル名: 任意のファイル名.bat
- 文字コード: 「ANSI」
- 3. batファイルの実行
- 作成・保存が完了したら、実際にbatファイルを試してみましょう。
- ファイルエクスプローラなどから保存したbatファイルを開くと、黒いターミナル画面が表示され、「変換したいファイルの名前を入力」というような指示が出力されます(スクリーンリーダーによっては少し読み上げがおかしくなってしまうかもしれません)。それが確認できたら、そのまま変換したいファイルのファイル名を、拡張子まで含めて入力してください。(例: sample.md)
- Enterキーで確定すると続いて「変換先の拡張子を入力」という指示が出力されますので、変換先ファイルのフォーマットに応じた拡張子(ピリオドは除く)を入力してください。(例: html、pptxなど)
- サイドEnterキーで確定すると、自動的に変換作業が開始され、数秒から数十秒で変換済みファイルが出力されます。
- ※注意点※
- 作成したbatファイルと変換したいファイルは、必ず同じディレクトリに保存されているようにしてください。変換したいファイルの場所が異なる場合には、フルパスを入力する必要があります。
- このbatファイルには最低限の機能しか搭載されていません。テンプレートなどより多くの機能を利用したい場合には、ターミナルアプリから直接操作していただけるようお願いします。
- 出力ファイル名は「ファイル名.元の拡張子.新しい拡張子」という変わった形になってしまいますので、返還後にご自身で変更してください。
まとめ
さて、今回の記事では様々なフォーマットの書類を簡単に相互変換することができるCUIアプリ、Pandocについてご紹介してきました。
ターミナルの操作に慣れていない方には少し難しいかもしれませんが、無料で数多くの書類を違和感なく変換してくれる非常に便利なツールなので、ぜひダウンロードしてお試しください。