フリーのスクリーンリーダー「NVDA」の
あまり知られていない便利な小技をご紹介❕
本サイトでもしばしばご紹介している、知名度の高いフリーのスクリーンリーダー「NVDA」。便利に使うための設定やアドオンについては難度か取り上げてきましたが、Office系アプリ・CUI・文字入力等様々な場面で使える、便利な設定やショートカットキーがあるのはご存じでしょうか。
今回はそんなNVDAの、知っているようで知らない小技をまとめてご紹介したいと思います。
⚙まだアドオンの互換性等が確保されていないため、本記事では最新版のNVDA2025.1.2ではなくNVDA2024.4.2を基にご紹介しています。ただ操作方法などはほぼ共通なので、バージョンに関わらずご利用いただけるものが多いかと思います。
Ⅰ Excelの列・行見出し設定
それではさっそく便利な小技1つ目、Excelで列・行見出しを設定する方法についてです。
Excelで既存の表に記入する際、過去に記載された何十行ものデータが邪魔をして、何を書くための列であるのかを示す「列見出し」がわからなくなってしまうことはないでしょうか。
晴眼者であれば列見出しの行を固定して常に表示されているように設定すればとても作業しやすくなりますが、スクリーンリーダー利用者の場合は一度見出しのセルまで戻る必要があるため少し不便に感じられてしまうかもしれません。そんな時に役立つのが今回の小技、列・行見出しの設定なんです。
例えばA2に「氏名」、B2~B11に「1月」~「12月」、A3以降のA列に社員の氏名が入力されている表があるとします。通常、記入箇所であるB3以降にカーソルを合わせても、セルの番地とその内容しか読み上げられないかと思います。
ただ、列見出しの開始位置、つまり見出しとなっている行の一番左のセル(A2)にカーソルを合わせてから下記のショートカットキーで列見出しを設定すると、A2以下のセルで列が変わった時(左右にカーソルを動かした時)に列見出しを読んでくれるようになるんです。例えばB30からC30にカーソルを動かした場合には「C30、2月」などと読み上げてくれます。
行見出しの場合でもやはり行見出しの開始位置、つまり見出しが始まっている一番上のセル(A3)にカーソルを合わせてからショートカットキーを入力すると、行が変わったとき(上下にカーソルを動かした時)に見出しの内容が読み上げられるようになります。例えばA4に「田中太郎」という名前が入力されていた場合、g3からG4にカーソルを移すと「G4、田中太郎」と読み上げてくれて、自分の居場所を見失うことなくデータを入力していくことができます。
なおブックを保存すれば列・行見出しの位置情報も一緒に記憶されるので、2度目以降に同じ操作を行う必要はありません。
- □操作方法
- ・列見出しの設定: NVDA(通常はインサートキーや変換キー)+Shift+c
- ・行見出しの設定: NVDA+Shift+r
Ⅱ CUI・仮想カーソルの当たらないテキストの読み上げ
続いてご紹介するのは、WindowsターミナルなどのCUIアプリケーション、及びNVDAの仮想カーソルを当てて読み上げさせることのできないテキスト領域が含まれるアプリで表示内容間を移動・閲覧する方法についてです。
「仮想カーソルを当てられないテキスト」といってもピンとこない方が多いかもしれませんが、一番身近なアプリでうとデフォルトの「Microsoft Store」アプリで表示される各アプリページの概要ランがこのような状況になっています。アプリを検索⇒アプリを選択⇒アプリ詳細ページへ移動という手順はすべてスクリーンリーダーで行うことができるのに、肝心なアプリの説明を読み上げてくれないという現状になっているんです。
こんな時、実は下記のキー操作でテキスト・コントロール間を移動し、通常では読み上げられない説明文などの内容を確認することができるようになっています。
- (1) ナビゲーターオブジェクトを前/次のオブジェクトに移動
- ・ラップトップ配列: NVDA+Shift+左右カーソルキー
- ・デスクトップ配列: NVDA+テンキー4/6
- ・補足: 同じ階層にある項目間を水平に移動することができます。先ほどのMicrosoft Storeの例では、「インストール」ボタンからNVDA+Shift+左カーソルキーなどで前方に移動していくと、アプリの説明文へ移動することができます。
- (2) ナビゲーターオブジェクトを親/子オブジェクトに移動
- ・ラップトップ配列: NVDA+Shift+上下カーソルキー
- ・デスクトップ配列: NVDA+テンキー8/2
- ・補足: 少しわかりづらいかもしれませんが、1つ上/下の階層に移動するためのコマンドです。例えば「左側にあるたぶばーは読み上げるのに右側のコンテンツを読み上げない」というアプリであれば、一度タブバーを操作してからNVDA+Shift+上カーソルキーでウウィンドウ内の構成要素に移動、NVDA+Shift+右カーソルキーで「コンテンツ」などと読むところへ移動、NVDA+Shift+下カーソルキーでコンテンツに入るという動きをなぞるとコンテンツ内へ入ることができます。
- (3) レビューカーソルを現在のナビゲーターオブジェクトの前/次の行に移動して読み上げ
- ・ラップトップ配列: NVDA+上下カーソルキー
- ・デスクトップ配列: テンキー7/9
- ・補足: ターミナルなどCUIアプリケーションの出力結果、その他テキストブロック等の内容を1行ずつ確認することができます。下記(4)・(5)も同様です。
- (4) レビューカーソルを現在のナビゲーターオブジェクトの前/次の単語に移動して読み上げ
- ・ラップトップ配列: NVDA+Ctrl+左右カーソルキー
- ・デスクトップ配列: テンキー4/6
- (5) レビューカーソルを現在のナビゲーターオブジェクトの前/次の文字に移動して読み上げ
- ・ラップトップ配列: NVDA+左右カーソルキー
- ・デスクトップ配列: テンキー1/3
Ⅲ 自然な息遣いの設定
こちらは以前におすすめ設定・アドオンの記事でもご紹介した、句読点・記号をそのまま読み上げずに自然な息遣いに変換して読んでくれるようになる小技です。
NVDAは通常、句読点の読み上げレベルに応じて、「句読点を読み上げるかどうか」を判断しています。例えば読み上げレベル(NVDA設定の「音声」欄から変更)が「一部読み上げ」になっている場合、句読点/記号読み辞書で最低読み上げレベルが「一部読み上げ」以上に設定されている記号だけが読み上げられます。
ただ「読み上げられる」と言っても句読点・記号の名前(「まる」、「てん」、「なかてん」など)がそのまま読まれるだけなので、文章との区切り目がわからない・長い文章の読み上げが不自然になってしまうといった問題が起きてしまうことがあります。
そんな時、実は下記のように読み上げ設定を変更することで、句読点・記号名をそのまま読み上げる代わりに息遣い・間の空け方に反映してくれるようになり、とても自然な読み方に調整することができるんです。
設定手順:
- (1) NVDA+nでNVDAメニューを開き、「設定」⇒「句読点/記号読み辞書」を開きます。
- (2) 記号一覧のリストで上下カーソルキーを使い、読み上げ方を変えたい句読点・記号まで移動します。
- (3) Tabキーで「最低読み上げレベル」まで移動し、「すべて読み上げ」に変更します。
- (4) Tabキーで「音声エンジンに記号を送る」へ移動し、「必ず送る」に設定します。
- (5) 上記(2)~(4)を、設定したい記号ごとに実施しましょう。
- (6) 最後に、忘れずに「OK」ボタンを押下して設定を保存後、NVDAを再起動して変更を適用します。
なお、管理人のLUCAは句読点にのみ上記の設定をあてはめ、逆に「・」(中点)や括弧などの記号は必ず記号名で読み上げられるように設定しています。
Ⅳ 気に入っていたアドオンが非対応となってしまった場合の応急処置
最後にご紹介する小技は、やや力業ではあるものの、開発者による更新が滞り最新版NVDAでサポート対象外となってしまったアドオンを一時的に使えるようにする方法です。なお、アップデートによりNVDAの仕様が大きく変わってしまいそもそもアドオンが実行できなくなっている場合などにはNVDA全体の動作に不具合が生じてしまうこともありますので、設定する際には必ず互換性に問題がないことを確認したうえで、自己責任で実施していただくようお願いします。
設定手順:
- (1) まずはエクスプローラでNVDAの「addons」フォルダ(%appdata%\nvda\addons)を開き、目的のアドオンのフォルダへ進みます。
- (2) フォルダ内にアドオンの基本情報・対応状況などが記載された「manifest.ini」というファイルがあるので、メモ帳などのテキストエディタで開きます。
- (3) 続いてiniファイル内で「lastTestedNVDAVersion = ...」と書かれた行を探し、その後に続く番号を利用中のバージョン以降の値に書き換えます。
※例: NVDA2024.2を利用している場合、「2024.2」より大きい数字 - (4) ファイルを保存して閉じた後、NVDAを再起動すればアドオンが使えるようになっているはずです。
Ⅴ まとめ
さて、今回はフリーのスクリーンリーダー「NVDA」がもっと便利になる、あまり知られていない小技をまとめてご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。
特にExcelやCUIでの操作はよく使うものかと思いますので、ぜひ機械があればお試しください。