フリーのスクリーンリーダー、NVDAのおすすめ設定・アドオンをご紹介!
これまで、スクリーンリーダーといえばPCトーカーやJAWSを中心に使ってきたLUCAですが、最近になってフリーの「NVDA」を利用する機会が増えてきました。というのも、コーディングやウェブ開発に関わるアプリ・ツールにはそれぞれ相性の良いスクリーンリーダーがあるようで、中でもNVDAが特別得意なもの(VSCodeなど)が多くなってきたためです。
とはいえNVDAは不完全なところを簡単に補えるよう数多くのアドオンプログラムが提供されている他、設定項目も多く他社製の有料スクリーンリーダーと比べて複雑なところがあります。すぐにマスターするのは難しいかと思いますので、今回はNVDAを使い慣れていない方やこれから使おうとされている方に向けた解説書とLUCA自身の備忘録を兼ねて、お勧めの設定方法やアドオンについてご紹介していきたいと思います。
☆ NVDAの公式サイトやNVDAメニューのヘルプ欄にはより詳しい、公式情報が掲載されています。わからないことがあれば、まず検索してみましょう。
お勧め設定
フリーソフトであるのにも関わらず有料のスクリーンリーダーと同等の性能を発揮してくれるNVDAですが、初心者には設定がやや難しいという難点があります。全ての設定項目が1箇所に集められているPCトーカーのAOKメニューなどとは違いデフォルト設定だけでも複数のページに分かれており、項目によっては読んでも用途のわからないものもあります。
そこでまずはNVDAが使いやすくなる設定項目をいくつかご紹介します。
※NVDA設定画面の開き方: NVDAキー(デフォルトではインサートキーや無変換キー)+nでNVDAメニューを開き、上下矢印キーで「設定」と読み上げるところまで移動してEnterキーで決定してください。各種設定が表示されますので、音声やキーボードなどの一般設定を変更する場合には「設定」を、日本語変換時の読み上げに関する設定を変更したい場合には「日本語設定」を、また記事中でご説明する機能のショートカットキーを割り当てたい場合には「入力ジェスチャ」を、それぞれ目的に応じて選択してください。また「設定」を選んだ場合には設定カテゴリの一覧が表示されますので、任意のカテゴリを上下矢印で選んでからTabキーを押して設定項目へ移動してください。
ブラウザの読み上げ
文中のリンクが単独でフォーカスされるようにする: 「設定」画面の「ブラウズモード」カテゴリから、「サポートされている場合は画面レイアウトを使用」をオフにする
リストの読み上げを単純化する: 「設定」画面の「オブジェクト表示」から、「オブジェクト位置情報の通知」をオフにする
フォームの入力を手動(Enterキーを押して初めてフォーカスされるよう)に変更する: 「設定」画面の「ブラウズモード」から、「フォーカスの変化を追跡する自動フォーカスモード」をオフにする
英語の読み上げ
大文字アルファベットを判別しやすくする: 「設定」画面の「音声」カテゴリから、「大文字の前に大文字と読む」をオンにする
英単語の読み上げ精度を上げる: 「設定」画面の「音声」カテゴリから「サポートしている場合スペル読み機能を使用」をオフにする
日本語入力
改行・空行が正しく読み上げられるようにする: 「日本語設定」画面の「テキスト編集で改行を報告」をオンにする
入力ジェスチャーの設定
入力ジェスチャー・キーボードショートカット・一部NVDAコマンドを変更する: 「入力ジェスチャー」画面のツリービューを上下・左右矢印で移動、任意の項目でTabキーを押して追加・変更する
※NVDAの一般的な動作に加え、ショートカットキーを割り当てて使うタイプのNVDAアドオンについても設定することができます。
お勧めアドオン
設定項目について一通りご説明したところで、続いてはNVDAの純正機能を補ってくれるお勧めのアドオンを4種類ご紹介したいと思います。NVDAアドオンはダウンロード後開くだけで自動的にインストールできる他、特に設定を無効化していない限り自動的にアップデートを検出してくれるので管理も非常に楽です。
尚、記事中でご紹介しているアドオンのうち先3つはNVDA Community Addonsの純正アドオン、後の1つは個人の開発者さんが公開してくれているものです。ウイルスの混入や重大なバグは見つかっていませんが、心配な方は純正アドオンのみをダウンロード・利用してください。
Easy Table Navigator
ダウンロード: NVDA Community Addons公式サイト
まずご紹介するのは、ウェブページの表内を簡単に移動することができるようになる、「Easy Table Navigator」です。PCトーカー・JAWSのやや苦手なテーブル内ナビゲーションですが、このアドオンをインストールすれば矢印キーだけで、簡単に移動・操作することができるので非常にお勧めです。
他の公式アドオンと同様、「Download Stable Version」(安定版)または「Download Development Version」(開発版)からダウンロードした後、開いてNVDAにインストールしてください。正しくインストールされていれば、「設定」→「入力ジェスチャー」画面に「Easy TableNavigator」という項目が増えているはずです。
設定を変更するにはNVDAメニュー → 「設定」 → 「入力ジェスチャー」と進み、「Easy Table Navigator」と読み上げたところで右矢印キーを2回押してツリービューを展開してください。Tabキーを押して「追加」を押すと、このアドオンを有効化するためのショートカットキーを設定することができます。
ウェブページのテーブル上で設定したショートカットキーを押すとアドオンが有効化され、上下・左右矢印で簡単にセル間を移動できるようになります。尚、無効化するときも、同じショートカットで抜けることができます。
Quick Notetaker
ダウンロード: NVDA Community Addons 公式サイト
2つ目のアドオンはいつでも、どこからでもショートカットキー1つでメモの作成・保存・書き出しができる、「Quick Notetaker」です。こちらもCommunity Addonsの公式アドオンなので、同様の手順でダウンロード・インストールしてください。
「Quick Notetaker」の設定も「Easy Table Navigator」と同様、「入力ジェスチャー」画面から行います。「QuickNotetaker」と読み上げたところで右矢印を押して展開するとメモの管理画面を表示するためのショートカットと、メモを作成するためのショートカットを割り当てることができます。それぞれ、Tabキーを押して追加・編集してください。
会議中に急いでメモを取りたい時には非常に便利なアドオンなので、ぜひお試しください。
No Beeps Speech Mode
ダウンロード: NVDA Community Addons 公式サイト
NVDA公式アドオン3つ目は、ショートカットキーによる読み上げモードの切り替えから「ビープ音」を無効化してくれるものです。
通常であれば「NVDA+s」キーで切り替えられる読み上げモードは「読み上げ」・「ビープ音」・「なし」の3種類ですが、このアドオンをインストールして有効化すると、ほぼ使いどころのない「ビープ音」モードをなくしてくれるんです。
非常にシンプルなアドオンですが、よく読み上げを切り替えながらNVDAを使われている方にはお勧めです。
AquesTalk シンセサイザー
ダウンロード: 「陸の部屋」ダウンロードページ
最後にご紹介するのは、WindowsやAndroidで十数年前から提供されている元祖ゆっくり棒読み系音声の「AquesTalk」をNVDAの音声エンジンとして使える、便利なアドオンです。
好みが分かれるところではありますがLUCAは個人的にJTalkなどの耳に刺さるような音声エンジンが苦手で、ずっと無料でインストールできる柔らかな音声を探していました。そこで見つけたのがこの「AquesTalk シンセサイザー」で、公式アドオンではありませんが、非常に聞き心地の良い音声が提供されています。
このアドオンをインストールすると「設定」画面の「音声」カテゴリで「AquesTalk」の音声エンジンが選択できるようになります。高速読み上げにも対応していますので、普段使いにもお勧めですよ。
キーボードのアイコン
まとめ
今回は徐々に利用者が増えてきているように感じるフリーのスクリーンリーダー、「NVDA」の便利な設定方法やアドオンについてご紹介してきました。
自由にカスタマイズできるのはNVDAの利点なので、ぜひ便利なアドオンを探してインストールしてみてください。