「iPhoneに翳すだけ!」 ショートカットのNFCオートメーションを使ってみよう!

以前からカードキー、社員証、ICカード決済など様々なシーンで使われてきたNFC(Near Field Communication)ですが、今では大部分のスマートホンが読み込み・書き込みに対応するなど、日常的に作業の短縮・自動かに用いられています。本記事では、そのようなNFCタグの基本的な使用方法に加え、iOS13から導入された、純正ショートカットアプリのNFCオートメーション機能について説明します。

📶 いつも通り、記事中でご紹介しているアプリ・サービスは全てvoiceover対応です。また、今回ご紹介する機能にはiOS13.1以上の、NFC対応iPhone(iPhone 7以上)が必要です。




1 NFCって何?

もう何年も前から売られているNFCタグですが、必要性を感じず使ったことのない方も多いと思います(LUCA自身も、ついこの間初めてNFCカードを購入したばかりです)。そんな方のために、まずはNFCとはどのような機能で、どのように使えるかについてご説明します。

1.1 NFCの仕組み

初めに「NFC」とはNear Field Communication(近距離無線通信)の略称で、13.56MHzの周波数を利用した、通信距離10cm程度の通信技術を指します。一般的には非接触ICカードやデバイス間の通信に用いられていて、企画によってA、B、F(FeliCa)の3種類に分類されています。

「翳す」だけで長いURLやwi-fiの接続情報、メールフォーム送信などを読み込み実行することができるため、通信技術の中でも容易な方法とされています。

以前は読み込みに専用のカードリーダーが必要だったため、あまり個人向けの商品は普及していなかったようですが、スマートホンやタブレットで読み書きが簡単に行えるようになった現在ではカード型・シール型・キーホルダー型など様々な形状・企画のNFCタグが安価で売られています。iPhoneの対応が少し遅かったものの、ほぼ全OSでNFCの読み書きができるアプリがリリースされており、NFCは容易な情報通信の手段として使われるようになっています。

それでは本題に入る前に、一般的なNFCの書き込み方・読み込み方について、具体例を示しながら説明していきます。

1.2 NFCの読み書き

AppStoreではNFCの読み込み・書き込み専用アプリが数多くリリースされています。今回の記事では比較的に使いやすく、voiceoverとの相性も良い、「NFC Tools」を使って読み書きの方法をご説明します。

まずはNFCタグの読み込みですが、単純に内蔵データを閲覧・実行するだけであれば、アプリを使わなくてもタグを翳すだけで読み取ることができます。データの入力されたタグをiPhoneの背面、カメラの下辺りに翳すと通知が表示されますので、選択して実行してください。

同じタグの読み込みでも、容量、形式、内蔵データの内容、ロックの有無など詳細情報を確認したい時には、NFC Toolsのような専用アプリを利用します。アプリを開いてメイン画面の「Read」を選択すると「スキャンの準備ができました、Approach an NFC Tag」と読み取りを促すメッセージが表示されますので、そのままタグを翳してください。

受信はタグが上手く翳せていれば一瞬で終わるはずです。アプリを介さず読み込んだ時と同様に通知は出現すると思いますが、それと同時にアプリの画面上には詳細な説明が表示されます。

タグの書き込みも同様に、アプリのメイン画面から、「Write」を選択してからレコードを追加します。これまでに書き込みをしたことがなければ画面中央にあるリストは空欄になっていると思いますので、右上の「Add a record」を選択して入力するデータを一覧の中から選びます。※動画内では最も簡単な、URL/URIを追加しています。

英語なので少しわかりにくいかもしれませんが、基本的には選んだデータの種類によって、必要項目を入力するようになっています。例えばURLではリンクの種類とURLの文字列、Mailでは送信先アドレス・件名・本文、Wi-Fi networkではセキュリティタイプ・暗号方式・SSID・パスワードと、登録する操作が適切に実行されるために必要な情報を保存します。入力が終了したら、右上の「OK」を選択してレコード一覧ページに戻ってください。

登録データに問題がなければ、リストの上にある「Write」ボタンを選択し、メッセージが表示されたらNFCタグを翳してください。書き込みができていれば、再度タグを近付けると自動的に通知が表示されるはずです。使わなくなったレコードは「More options」ボタンの「Clear Record List」から、消去したいタグはメイン画面、「Other」、「Erase tag」から削除できるようになっています。

雑な説明になってしまいましたが、実際にアプリを操作してみると直感的でわかりやすいUIになっています。以下の動画ではvoiceover環境でURLの書き込みを行っています。

これでNFCタグの読み書きは終了です。基本的な使い方が解ったところで、本題のオートメーション作成に進みます。


ICカードでキャッシュレス決済をしているイラスト

2 ショートカットのNFCオートメーション

前述が長くなってしまいましたが、ここからは本題、NFCオートメーションの使い方をご紹介します。

2.1 オートメーション機能って何?

「オートメーション」とは英語で自動化という意味で、Appleの純正ショートカットアプリにiOS13から新しく組み込まれている、「ショートカットを自動化する」機能のことです。以前にこのアプリを使用された方は経験があるかと思いますが、様々な操作をボタン1つで実行でき便利なショートカットは、その実開くのが少し面倒です。そこで新たに組み込まれたこのオートメーション機能は、特定の条件が満たされた際に、登録したショートカットを実行してくれるようになっています。

現在オートメーション機能の条件には「時刻」、「アラーム」、「Apple Watchワークアウト」、「到着」、「出発」、「通勤/通学する前」、「CarPlay」、「機内モード」、「wi-Fi」、「Bluetooth」、「おやすみモード」、「低電力モード」、「NFC」、「Appを開く」の14種類が容易されていて、それぞれの具体例を「オートメーション」タブから確認できます。

「設定した条件が満たされる → アプリが認識する → 登録したショートカットが自動的に実行される という流れなので、一度設定してしまえばその後は一切触れずに複数の操作が行えるようになっています。今回説明するのはこの中でもNFCの読み取りを条件とするものですが、基本的にオートメーションは全て同様の手順で作成できるので、ぜひ色々な操作を自動化してみてください。

2.2 オートメーションの作成方法

それではオートメーションの作成方法をご説明します。この機能はSUICAやPASMOなどのICカードでも試せるようになっているので、実際にアプリを開いて、手順通りに作ってみてください。

    オートメーションの作成手順
  1. ショートカットアプリを開いたら、下方に並ぶタブの中から「オートメーション」を選択してください。
  2. 作成済みオートメーションの画面が表示されたら、右上の追加ボタン(voiceoverでは「AddAction」と読み上げられます)を選択してください。
  3. 「個人用オートメーションを作成」を選び、条件の一覧から「NFC」に進んでください。
  4. 続いてNFCタグの登録画面に移るので、「NFCタグ, スキャン」を選択、タグを翳して名称を登録してください。
  5. 右上の「次へ」からアクション登録画面に遷移してください。画面中央の「アクションを追加」ボタンから任意の操作を割り当てることができます。具体的なアクションについては次項で説明します。
  6. アクションを選び終えたら右上の「次へ」を選択します。最終確認画面が表示されますので、タグ読み込みと同時に実行してほしい場合は「実行の前に尋ねる」をオフに設定してください。
  7. 最後に、右上の「完了」を選択したら作業は終了です。早速タグを翳して試してみましょう。

※オートメーションとは「タグのIDごとに登録された操作を実行」する機能なので、同じNFCタグでも書き込まれた情報とは違い、勝手に読み込まれてしまうことはありません。その代わり、1枚のタグを複数人で共有したい場合にはそれぞれの端末で同じオートメーションを設定する必要があります。

一通りオートメーションの登録方法をご説明してみましたが、これではどのようなアクションを登録すればよいかわからないかと思います。そこで、次項ではアクション割り当ての仕組みと、具体例をいくつかご紹介したいと思います。

2.3 オートメーションの具体例

オートメーションの中身を構成しているアクションとはその名の通り細かく分解された操作のことで、実行してほしい操作が正しく動作するためには、このアクションを正確に、順番に配置する必要があります。プログラミングなどとは違いアクションの内容はわかりやすく表記してありますので、発動する順番に選んでいくと作りやすいです。

アクションの編集画面で中央の「アクションを追加」を押すと、カテゴリ別に様々なアクションが表示されます。アクションの意味や使い方を調べるには詳細情報マークを、オートメーションに追加するにはアクション名のところを選択してください。アクションによっては設定項目が用意されていることがあるので、それぞれ未入力項目がないか確かめてから次のアクションに進んでください。

以下の具体例では、追加していく順にアクションの名前を列記しています。間違えないように選べば、同様のオートメーションが作れるはずです。

※voiceoverユーザであれば、ローターアクションで簡単にアクションの追加・削除・並び替えができるようになっています。

名称必要なアクション
定型文LINEテキスト(今から帰るよ) > クリップボードにコピー > メッセージを※※※に送信
Google検索入力を要求(Google Search) > 入力からテキストを取得 > Webを検索(Google)
オートアラームアラームを切り替える(5:45をオンに変更) > おやすみモードを設定(イベント終了時「アラーム」までオンにする)

言葉の説明では少しわかりにくいかもしれないので、「オートアラーム」のショートカットリンクを貼ります。設定アプリの「ショートカット」でセキュリティ設定をオンにしてから、オートメーションに書き換えてご利用ください。

ショートカット「オートアラーム」をコピー


3 まとめ

これでNFCオートメーションの作成・利用方法は以上です。難しい内容なのに文章までわかりにくくて申し訳ないですが、使いこなせるようになると凄く便利な機能なので、ぜひNFCタグを購入して試してみてくださいね。

何かご意見・ご質問がありましたら、メールかTwitterのDMでお問い合わせください。それでは次回の記事で。


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