音声管理がパワーアップ❕
~iOS18で進化したVoiceOverの新機能をご紹介~
本日、2024年9月17日に一般公開された新iOS18。Apple Intelligence対応やホーム・ロック画面カスタマイズの自由化などが話題になっていますが、VoiceOverを含めアクセシビリティ機能も大きく更新されているのはご存じでしょうか。
今回はそんなiOS18でVoiceOverがどのように進化したのか、早速アップデートしたLUCAの経験を踏まえてご紹介していきたいと思います。
🍎 まだリリースされたばかりのOSということもあり一部網羅できていない機能などもあるかと思いますが、ご容赦ください。
「言語」から「声」への変更
iOS18で追加されたVoiceOverの新機能の中で、最も大きく変わったのが「言語」というローター項目の刷新でしょう。これまでは言語ごとに音声・読み上げ設定を保存し、ローターから変更できるような仕組みでしたが、iOS18からはこれが「声」というローター項目に置き換わっています。
具体的に何が変わったかというと、これまでは言語ごとにしか設定できなかった声やその設定が、自由に1フリックで切り替えられるようになったんです。例えばこれまで日本語の音声は「デフォルト」と「日本語」の2種類の言語設定にしか割り当てられず、また「言語を検出」オプションなども「デフォルト」言語にしか設定できなかったのですが、今回のアップデートからは好きなだけの日本語音声を設定し、それぞれに読み上げ速度やピッチなどを設定し、また全ての音声において「言語検出」オプションが設定できるようになったんです。
この新機能を利用するためには、下記の手順に沿って操作してください。
- 「設定」アプリを起動し、「アクセシビリティ」↠「VoiceOver」↠「読み上げ」の順に移動します。
- 「主音声」の欄で、デフォルトの音声として使いたいものを選択します。
- 「追加の声」欄から「ローターの声を追加...」を選択し、ローターから切り替えられるようにしたい言語・音声を選びます。
- 主音声・追加音声共に、一覧から選択することで個別の読み上げ設定を変更することができます(詳しくは次項で説明)。
- 使いたい声を追加し終えたら、ローターを「声」に合わせて、本指上下スワイプで音声を切り替えてご使用ください。
※なお、これまでLUCAは古いiOSで利用することができていた「Oren」という音声を大事にバックアップして引き継いできていたのですが、今回のアップデートによりそのデータが消失したのにも関わらず、声の設定から「Oren」と「Oren拡張」の2つが選べるようになっていました。詳しくは調べられていませんが、もしかしたら今回のアップデートからOrenの声が復活したのかもしれません。
2024/9/18追記: 今回のアップデートにより、Oren・Oren拡張・Eddy・Flo・Grandma・Grandpa・Reed・Rocko・Sandy・Shelleyの10種類の日本語対応音声が追加されたようです。また「言語を検出」が全ての音声に適用されると記載してしまっていましたが、実際には主音声1つにしか適用されないものでした。誤った情報を掲載してしまい失礼いたしました。
自由度の高い音声カスタマイズ
続いて前項の内容と一部重複しますが、以前よりも自由度が格段に上がった、音声の各種読み上げ設定についてご説明します。
A. 音声ごとの設定
従来は言語ごとに「読み上げ速度」と「ピッチ」しか変更できなかったVoiceOverの設定ですが、iOS18では音声ごとに「速度」・「ピッチ」・「音量」・「声の高低」・「文と文の間の休止」・「イコライザ」と数多くの設定項目が用意されています。
中でも便利なのは句読点・記号読み上げ時の間の取り方を微調整できる「文と文の間の休止」と超低域・低域・中域・高域の響きを変え、自由に声質を調整することができる「イコライザ」の2つで、これらの設定を変更することで自分だけのVoiceOver音声をカスタムすることができるようになっています。
なお、従来通り「ピッチの変更」などは全音声共通で変更できるようになっています。
B. VoiceOver共通の読み上げ設定
音声ごとの設定だけでなく、全音声共通の設定についても強化されています。
まず、VoiceOver設定のトップページ下方から切り替えられる「選択するまでの時間」という項目ではタッチ画面に触れてからVoiceOverが移動・読み上げを開始するまでの時間を変更することができ、指先の不自由な方でも安心して操作できるような仕組みになっています。
またローター項目から「ライブリージョンと通知」をオンにすると、ローター項目の切り替えによって多くのVoiceOverユーザを悩ませてきた、「ウェブページでカルーセルの変化を自動的に読み上げてしまう」問題を解決することができるようになっています。
その他の大きな変更点
ここまでiOS18で大きく刷新されたVoiceOverの新機能についてご説明してきましたが、ここからはその他の大きな変更点について簡単にご紹介していきたいと思います。
- (1) パーソナルボイスのVoiceOver対応(日本語未対応)
- iOS17から搭載されている「パーソナルボイス」で録音・作成した合成音声をVoiceOverの音声として利用できるようになりました。
- ※記事執筆時、英語と中国語にのみ対応しています。
- (2) ライブ認識
- これまで「検出モード」という名前で利用できていた文字・人・扉の認識機能が更新され、VoiceOverのローターからも呼び出せるようになりました。
- (3) オーディオダッキングの設定追加
- 従来はオン/オフにしか設定できなかったオーディオダッキングに「読み上げ時」という設定が追加され、読み上げ音声とメディアの相互音声調整がより容易になりました。
- (4) 起動時の触覚
- VoiceOverの誤作動を抑制するため、起動時に軽く振動するようになりました。
- この設定はVoiceOver設定の「オーディオ」欄から変更できます。
- (5) 展示画面入力の刷新
- 画面の上端・下端を同時にダブルタップすることで容易に起動できるようになった他、設定から常時有効化・展示コマンドなどの設定が変更できるようになりました。
- (6) 読み上げ精度の向上
- アルファベット交じりの日本語等、一部読み上げ精度が向上しているようです。
まとめ
iOS18で追加・更新されたVoiceOverの新機能は以上です。
声の切り替えやカスタマイズができるようになった他、細かな機能も数多く改善されているようですが、如何でしたでしょうか。
VoiceOverユーザの皆さんは、ぜひ実際の操作を通して新機能に慣れていっていただければと思います。