視覚障害者用補助系アプリをまとめてみました! ~Ver.2~


最近、もう1年以上も前にアップした「視覚障害者用補助系アプリをまとめてみました!」の記事をご覧頂くことが多かったので、この度は前回カバーし切れなかったアプリや、その後にリリースされたアプリを追加したVer.2を投稿することにしました。

OCR・画像認識・ナビゲーションなど視覚障害者の日常を補助してくれる、様々なスマートホン用アプリを掲載していますので、VoiceOver・TalkBackユーザの方はぜひ最後まで目を通してみてください。

👓比較しやすいようVer.1からのアプリも続けて掲載していますが、これまでに大きくアップデートされたものに関しては「※」で追加情報を記載しています。


スマホのカメラで何かを撮影しようとしているトラ猫のイラスト

~Ver.1~

Envision AI

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最初にご紹介するのは、高速文字認識、人・物の検出、画像説明、色検出、バーコードスキャンまで、人工知能を用いてどんなものでも認識・検出することのできる、万能な視覚補助アプリ、「Envision AI」です。このアプリの特徴は何といっても認識種別の多さと、認識制度の高さです。認識対象の種別はアプリ画面下部のタブバーから選択でき、またそれぞれのタブ内から具体的な検出方法・手段を選べるようになっています。例えば「テキスト」タブの中からはルーペの代わりになる「拡大」、カメラで写すとともに文字を認識・読み上げる「すぐに読み上げをはじめる」、写真内から読み取れる文字を全て書き出す「書類の読み上げ」、ページの多い画像pdf等を一括で文字化できる「複数のページを読む」機能がアクセスでき、用途・状況に合わせて使い分けることができます。

Envision AIはLUCAが使っている補助系アプリの中でも、最も使用頻度の高いものです。サブスクリプション・永久ライセンス共にやや高価ですが、一度使い始めれば手放せなくなってしまうほど便利なアプリなので、ぜひインストールして無料体験に登録してみてください。

※2022/06追記: 拡大鏡・Envision Glassesとのペアリング機能など様々な新機能が追加されている他、どの向きからでも活字の読み取りが可能になるなど、日々基本性能のアップデートがリリースされています。

TapTapSee

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TapTapSeeは2012年にリリースされた、元祖画像認識アプリの1つです。最近はあまり更新されていないようですが、完全無料(iOS版)で文字・写真・バーコードを認識し、合成音声で読み上げてくれる、利便性の高い補助系アプリです。

このアプリの最大の特徴は1ボタンで自動的に認識対象を判断してくれるところで、カメラを向けて「撮影」ボタンを押すだけで画像内に含まれる色・形・風景・文字・バーコード等を瞬時に識別し、必要な情報を取り出して読み上げさせることができます。同様の機能を持った視覚障害者用アプリが多く販売されるようになった今でも、その認識の早さと使いやすさは群を抜いています。


OCR-pro

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続いては文字認識に特化したOCR(Optical Character Recognition)系アプリ、「OCR-pro」のご紹介です。

OCR-proはカメラで写した活字をテキスト化してくれるアプリで、日本人のデベロッパが開発されているため、他社製アプリに比べて日本語の認識制度が高いように感じます。本記事でご紹介しているのは有料版ですが、広告付きの無料版も同デベロッパからリリースされています。機能的にはEnvision AIで代用可能ですが、認識した文字がプレーン・テキストとして出力されるため、その後のコピー・保存が容易に行えます。


Be My Eyes

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Be My Eyesは人口知能を組み込んだ他社のアプリとは異なり、視覚補助を、支援提供ボランティアとして登録している実際のユーザに依頼することができるアプリです。ダウンロード後、「視覚補助が必要です」ボタンからユーザ登録を済ませれば、困った時にいつでも手の空いている、ボランティアとして登録されている方のサポートを受けることができるようになります。

カメラで身の回りを写しながら実際に晴眼の方の支援を受けられるため、道に迷った、パソコンのスクリーンリーダーがフリーズして動かないなど、AIでは対応し切れないような場面にも活用でき、一人暮らしをされている方にはお勧めの補助系アプリです。

※Be My Eyesのレビューページには、個人情報を詮索された、補助と関係のない質問をされた、道案内のために移した街並みから住んでいる地域を予測・質問されたなど、プライバシー侵害に関する否定的なコメントが多く寄せられているようでした。利用される方は互いにプライバシーを尊重し、視覚補助に関わる情報のみを交換するよう注意してください。

※2022/06追記: 大きな変更点はありませんが、定期的に不具合改善などの更新がされているようです。


Microsoft Lens

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Microsoft Office Lensは文字認識に特化した補助系アプリで、書類だけでなくホワイトボードや手書きの文書に対応しているところが特徴です。また、Microsoft社製なのでOffice系アプリとの互換性が高く、文字認識後のテキストは直接Word・PowerPoint・OneNote・OneDriveなどに送信・保存できるようになっています。

アプリUIのアクセシビリティはあまり高くはないですが、テキスト化した画像をその場で読み上げられるなど、視覚障害者にも使いやすい機能が組み込まれています。

※2022/06追記: 認識速度・効率の向上、PDF・画像の保存・呼び出しに関する改善など、細かくアップデートがリリースされているようです。同様の文字認識系アプリが数多くリリースされている現在では少し忘れられがちですが、手書き文字の認識・OneDriveへの直接保存など使いやすい機能が多く、無料OCRアプリの中ではかなりお勧めです。またいつの頃からか、名称が「Microsoft Office Lens」から「Microsoft Lens」に変わっていました。


きけるおしながきユーメニュー

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最近では点字のメニュー表を置いている飲食店が増えていますが、まだまだ普及率は高くなく、また目的のメニューを探すのには時間がかかってしまいます。そんな悩みを解決してくれるのが、voiceoverに完全対応した、「きけるおしながきユーメニュー」です。

このアプリでは数多くのチェーン店をカテゴリ別に検索し、スクリーンリーダーでナビゲートしやすい、シンプルなレイアウトに調節されたメニューの一覧を閲覧することができます。iOS・Android用アプリ共に情報がやや古いですが、ウェブ版や公式Twitterアカウントでは最新のメニューを無料で確認できるようになっています。

※2022/06追記: Ver.1投稿時から一切アップデートされておらず、せっかく使いやすいアプリなのに情報が古すぎて使えない状況です。ウェブ版は変わらず更新されているようなので、ブックマーク・ホーム画面に追加して利用する方が使いやすいかと思います。

UDCast

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視覚補助の中でも、趣味・娯楽を支援するアプリが政策され始めています。その中でも、リアルタイムで音声解説を聞きながら映画を見れるのが、「UDCast」です。マイクで拾った映画のサウンドに合わせて保存済みの開設を再生するためタイムラグは最小限で、視覚障害者でも映画を楽しめるような工夫が詰め込まれています。

映画のオーディオファイルに音声解説を付けて提供されているシネマデイジーなどもありますが、UDCastでは解説のオーディオファイルのみを扱うため、最新の映画に対応しています。LUCA自身はまだ映画館で利用したことはありませんが、これからは視覚障害者でもスマホ片手に、気軽に映画を見に行けるようになりそうです。

※2022/06追記: 引き続き最新タイトルへの対応を続けているようです。なお、Ver.2でご紹介しているHELLO! MOVIEも同様の機能を搭載したアプリなので、映画好きの方は不具合・音声解説非対応に備えて両方ともダウンロードしておくのが良いかもしれません。


YouDescribe

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こちらもUDCastと同様に視覚障害者が容易に動画を閲覧できるように開発された、「YouDescribe」というアプリです。これはユーザが既存のYouTube動画に独自の音声解説を吹き込むことのできるもので、PV、ショートフィルム、教育、コメディー、アクセシビリティ、動物動画など様々なカテゴリ・ワードから好きな動画を検索できるようになっています。

YouDescribeは英語のアプリで、残念ながら今のところ日本語の動画は投稿されていません。ですが、Be My Eyesのようなコミュニティベースのアプリなので、UDCastとは少し違った、温かみのある解説音声を聞きながらYouTubeを楽しめる、ユニークな補助系アプリだと思います。


これなにメモ

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「これなにメモ」は身の回りのものに音声の目もを付けられるアプリで、まるでラベルを貼るように、簡単に撮影したものにメモを設定することができます。

使い方は簡単で、操作方法等は全て視覚障害者にもわかりやすいよう、具体的に説明されています。基本的に「登録」画面からメモを設定、「認識」タブから設定済みの目もを聞くようになっています。似た形の服、CDケース、商品のパッケージなど、触覚だけでは判断できないものを簡単に管理できるのでお勧めです。


OTO-Mii(オトミィ)

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「OTO-Mii」は視覚障害者の利用を想定して開発された歌詞検索アプリです。カラオケの練習アプリやカラオケリモコンの代わりになるアプリなど視覚障害者の1人カラオケを支援してくれるアプリはいくつか提供されていますが、このアプリではカラオケの演奏に合わせてvoiceoverのカーソルを移動、該当箇所に読み上げを同期してくれるという、非常に便利な機能が備わっているんです。

アプリを起動、文字入力またはハミング認識で曲を検索、歌詞の詳細表示を開くと、再生されている音楽に合わせて、一歩先の歌詞を読み上げてくれる「歌詞先読み機能」にアクセスできます。この機能を使いこなせれば、メモや点字機器を持ち歩かなくても、カラオケで好きな曲を歌えるようになります。


ミライロID

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「ミライロID」は身体障害者手帳を電子化するためのアプリで、予め登録・撮影した障害者手帳のデータをそのまま代用できるようにしてくれます。補助系アプリとは少し違いますが、普及すれば障害者手帳を持ち歩かなくても済むようになるかと思い、ご紹介することにしました。

使い方は簡単で、初回起動時にユーザ情報・障害者手帳の写真を登録すれば、その後は画像を定時するだけで紙の手帳の代わりに使えるようになります。まだ対応施設数は少ないようですが、今後に期待です。

※2022/06追記: Playストア版リンクを追加しました。アップデートの度にマイナポータル連携・クーポン機能・ゲストモードなど様々な新機能を追加している他、少しずつ対応企業・施設を広げてきているようです。


Blind Square

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長年スマートホンを使われている視覚障害者ユーザにはお馴染みの補助アプリかと思いますが、最後にアクセシブルな地図・ナビゲーションアプリである、「Blind Square」をご紹介します。

住所を入力する他のマップアプリとは異なり、Blind Squareでは行きたいお店・施設をカテゴリ別・距離別に検索し、ワンクリックで店舗情報の閲覧・目的地の設定をすることができます。また、ナビゲーションの際には他社アプリへの引継ぎなどもでき、最大限視覚障害者に配慮してくれています。

※2022/06追記: Bluetoothイヤホンの最適化・方向指示の改善など、定期的にアップデートが提供されています。新機能は残念ながらアメリカとカナダ向けにしかリリースされていませんが、徐々に日本にも適用されるかと思います。


ヘッドホンで何かを聞いている男子のイラスト

~Ver.2~

GO タクシーが呼べるアプリ

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Ver.2でご紹介する最初のアプリは、最近増加しているタクシー配車アプリの中でもアクセシビリティの高い、GOタクシーです。

視覚障害者専用に開発されたアプリではないのでVoiceOver・TalkBackに完全対応している訳ではありませんが、他社製のタクシー配車アプリと比べて読み上げに対応したボタン・コントロールが多いのに加え、配車中のタクシーの運転手と直接コミュニケーションが取れるメッセージ・通話機能が用意されているので合図を送ることの難しい全盲の方にとっても非常に使いやすいアプリだと思います。


音読+

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音読+はいわゆるTTS(Text to Speech)軽アプリの一種で、入力したテキストをVoiceOverの音声で読み上げてくれるものです。

特別使いやすいアプリという訳ではありませんが、VoiceOverで操作しやすく、また読み上げさせた音声データを直接保存・エクスポートすることができるので個人的なメモやリマインダーには向いているかと思います。

※注意: アプリ単体ではアラームや通知機能は利用できません。エクスポートした音声データを使いたい場合、デフォルトの着信音・通知音や他社製アプリへ共有・保存してください。


Voice Dream Reader

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こちらは音読+よりも有名な、高性能のTTSアプリです。

他のアプリから共有されたファイルやブラウザからダウンロードしたファイルなど、様々なフォーマット・レイアウトのテキスト・PDF文書を取り込ませて好きな音声、話速、ピッチで読み上げさせることができます。VoiceOver単体では正しく読み上げられない文書を、純正の設定よりも多彩な音声設定で閲覧・視聴することができるので、日ごろからPDF形式のファイルを利用している方にお勧めです。。


ボイス オブ デイジー 5

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続いては紹介するまでもないかもしれませんが、デイジー図書をスマートホンで読むことのできる、専用のプレイヤーアプリ「ボイスオブデイ ジー5」です。

特徴は何といってもサピエ図書館やその他サービスからダウンロードしたデイジーデータをそのまま取り込み、保存・再生することができる点です。更新頻度が低いため未修正の不具合が残ってることもありますが、プレクストークと同様にレベル単位での移動や直感的な再生操作を行うことができるので、サピエ図書館の利用者にとっては必須のアプリではないでしょうか。

※参考までにPlayストアのリンクを掲載していますが、最近になってアプリの提供が中止されてしまったそうです。iOS版と同じバージョン5の提供を待つしかない状況です。


Seeing AI

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Seeing AIは無料であるのにも関わらず、Ver.1でご紹介した有料アプリの「Envision AIに次ぐほどの多彩な機能を備えた視覚障害者用の文字・画像認識アプリです。

Envision AIと比べてしまうとやはり「認識制度が比較的低い」、「外部アプリからの共有機能がない」、「アプリ内の保存用ライブラリがない」、「対応言語数が少ない」などと見劣りしてしまいますが、「軌道から認識までの所要時間が短い」、「通貨や図形の読み取りが得意」などの長所もあり、何より無料でこれほどの機能を提供しているアプリはなかなかありません。


Microsoft Soundscape

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Ver.1では視覚障害者向けの機能を多く備えたナビゲーションアプリであるBlind Squareをご紹介しましたが、MicrosoftがリリースしたSoundscapeは少し違ったアプローチで目的地・周辺施設がわかりやすいよう開発されたアプリです。

通常「視覚障害者向けのナビゲーション」と聞くと音声で距離・方向を指示するようなものが多いかと思いますが、Soundscapeでは目的地・周辺施設の情報を、実際の方向から伝えてくれます。例えば右前方に郵便局があればその方向から「○○郵便局、100メートル」というように教えてくれるので、周囲にどのような施設が、どのような位置関係で建っているかといった情報に容易にアクセスすることができます。

※このアプリを利用するためには、両耳にイヤホンを装着する必要があります。できる限り安全に歩行できるよう、骨伝導イヤホンやウェアラブルスピーカーなど耳孔を塞がない形状のオーディオデバイスをお使いください。


Vision:視覚障害者向け

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VisionはEnvision AISeeing AIと同じく文字・画像認識アプリの一種ですが、利用料が比較的高く、認識制度も低いので一般的な文字・物体の認識にはあまり向いていません。

ただ、Visionには同系統の他のアプリには搭載されていない、距離測定機能というものが付属しています。この機能だけは非常に使いやすく、カメラで前方を写すだけで距離や長さを音声と振動で教えてくれるので定規やメジャーが使いづらい視覚障害者にお勧めです。


信GO!

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続いてご紹介するのは、いわゆる青信号延長期の機能をアプリに詰め込んだ信GO!です。残念ながらLUCAの自宅周辺には音響信号が一切設置されておらず検証できていないため使用感については伝えられませんが、公開されている情報を中心にご紹介していきたいと思います。

信GO!の機能は主に青信号の延長と信号の切り替わり通知の2つで、後者には自由にカスタマイズすることのできる音声や振動を割り当てることができます。

「対応した信号機に接近したら3回振動する」、「青信号に切り替わったら5回振動する」、「青信号が終わりそうになったら長めに振動する」というように必要な通知のみを設定することができるので、日常的に音響信号を利用している方はぜひダウンロードしてみてください。


kotonaviStation

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こちらも残念ながらまだ実践できていないものですが、事前に対応済みの駅構内に限定した、視覚障害者用のナビゲーションアプリです。

まだ対応施設数が少ないのが残念ですが、今後広まってくれると非常に便利な支援アプリになりそうです。


HELLO! MOVIE

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最後にご紹介するのは、UDCastと同様に、映画の音声を聞き取りながら、タイミングを合わせて音声解説を再生してくれるアプリです。

仕様はUDCastとほぼ同じですが、稀にどちらか一方にのみ対応したタイトルが上映される、どちらかにバグが生じて解説が聞けなくなるといったことがあるようなので、両者ともインストールしていると安心かもしれません。


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